「英文法ばかり勉強しているから、日本人はなかなか英語がしゃべれない」と言う方がいますよね。
本当にそうなのでしょうか?
確かに、英文法は英語学習の土台であり、聞く、話す、読む、書くの4技能に役立つものです。
英語で言いたいことをしゃべるためには、英語のルールである英文法が重要なのは間違いありません。
しかし、中学校でたくさん英文法を学習したにもかかわらず、英語を話せない人が多いのも事実ですよね。
どうして、英文法を学習したはずなのに、英語が話せないのでしょうか。
それは、英文法を「理解する」ところで終わっているからです。
本当の文法力とは、「理解する」だけでなく、学んだ知識を「使える力」に変えていくことなのです。
つまり、「使える英語」を身につけるということですね。
それができていないから、なんとなく英文法の知識はあっても、英語で話すことができないのです。
英語を話せるようになるためには、理論的に英文法を理解するだけでなく、実践的な英文法を身につけることがとても重要です。
そこで今回ご紹介したい本が、実践的な文法書である「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」です。
全世界で累計3,200万部売れている「Grammar in Use」シリーズの初級者向けの日本語版であり、英語をやり直したい学習者に最適です。
何が実践的かと言うと、ネイティブの感覚で書かれているので、わかりやすく、すぐに会話に活かせる英文法が学べること。
さらに自然な例文が多いので、音読練習をすることで「使える英語」をどんどん身につけられることです。
英文法を理解して、使える力に変えていくためには、この本が最強です。
これは私だけでなく、世界中の英語教育者の意見でもあります。
この本の特徴やメリットデメリット、さらに、どんな使い方をすれば効率よく文法学習ができるのかをご紹介していきたいと思います。
おすすめ文法書はGrammar in Use!英文法の重要性
本の紹介の前に、そもそも、英文法って大事なのでしょうか?
「英文法を勉強しても意味がない」「英文法を勉強しなくても、海外に行ったり、字幕なしで洋画を見ていれば英語を話せるようになる」という意見をよく聞きます。
確かに、日本人は中学校でたくさん英文法を勉強したはずなのに、英語を話すのが苦手ですよね。
だから、「英文法を学習しても英語は話せない」と考えるのもわかります。
でも、日本人が英語を話すためには、英文法がとても重要です。
なぜなら、日本語と英語の構造は違うため、英語の「ルール」である英文法を知る必要があるからです。
日本語の順番は、「主語(S)→目的語(O)→動詞(V)」ですよね。
韓国語も同じSOV型なので、比較的楽に覚えることができます。
一方英語は「主語(S)→動詞(V)→目的語(O)」です。
ちなみに、ヨーロッパの言語はこのSVO型が多いので、ヨーロッパ人は日本人が英語を覚えるよりも楽なのです。
自分たちの言語と似た構造の外国語を覚える場合は、自分たちの言語の上に外国語を置いて考えることができます。
だから、「文法」というルールがわからなくても、単語がわかれば比較的スムーズに話すことができるのです。
しかし、自分たちの言語と違う外国語を話す場合には、「文法」がわからないと、めちゃくちゃな構造になってしまいます。
例えば、日本語の場合、「私は旅行に行きたい」と言いたくても、文法がわからないと「私は行きたい、旅行に」とちょっと不自然な文章になってしまうでしょう。
何とか言いたいことを伝えることはできますが、そのレベル止まりです。
基本的な文法を知らずに外国語を話すのは、やはり無理があります。
言いたいことをしっかり言えるようになるためには、英文法という「ルール」を学び、正しい語順で話す必要があるのです。
でも、日本人はしっかり中学校で英文法を学習しています。
それなのに話せないのは問題ですよね。
この問題はどうして起きるのでしょうか。
それは、日本の英語教育が、「英語の問題を解く力」を鍛えるものであり、「英語を使う力」を鍛えることに重きを置いていない傾向にあるからです。
英文法を論理的に覚えるところで終わってしまい、肝心の「その知識を使う」までできていません。
だから、「英文法を学習しても英語は話せない」という方が非常に多いのです。 英文法を「知っている」ことと、「使いこなせる」ことは違うということですね。
大切なことは、実践的な英文法学習をすることです。
そのためには、中学校で勉強していたような英語の文法書ではなく、「使える英語」を学べる文法書が必要になります。
そんな実践的な文法書として最適なのが、「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」なのです。
おすすめ文法書|Grammar in Useシリーズの種類
「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」は、「Grammar in Use」シリーズの1つです。
まずは、このシリーズについてご説明しておきたいと思います。
あの世界的権威のあるケンブリッジ大学が出版していて、世界中の英語学習者と英語教育者から支持されている超人気英文法書シリーズです。
シリーズ1冊目であり、世界的に有名な本が「English Grammar in Use」です。
Raymond Murphy氏によって書かれたもので、1985年に初版本が発行されています。
「ネイティブの感覚で作られた丁寧でわかりやすい解説」「すぐに会話に使える例文が豊富にある」などと評判になり、その後、さらに6種類のバージョンが発行され、全世界でシリーズ累計3,200万部を売り上げる大ベストセラーになったのです。
「English Grammar in Use」はイギリス英語版中級編なのですが、ここから、アメリカ英語版、日本語版に分かれ、さらにレベルも初級・中級・上級と分かれていき、以下7種類となりました
・「Essential Grammar in Use」:イギリス英語版初級編
基本的な英会話をする上で必要になる中学レベルの英語が丁寧に解説されています。
解説は最小限で、その分イラストが多いので、感覚的に覚えていくことができます。
英語の基礎から丁寧にやり直したい方におすすめです。
一番人気の「English Grammar in Use」を使ってみたいけど、まだ自信がない初心者の方はこちらから始めましょう。
・「English Grammar in Use」:イギリス英語版中級編
もともと、この人気シリーズはこの本から始まりました。
だから、シリーズの中で最もバランスがよく、一番人気が高いです。
このシリーズの代表的な本ですね。
英語中級レベルで文法の本を探しているなら、この本を選んで間違いありません。
英語中級レベルにはなっているけど、しっかり基本からやり直したいたい方におすすめです。
・「Advanced Grammar in Use」:イギリス英語版上級編
とてもハイレベルの内容なので、まず「English Grammar in Use」を試してから、この本に進むと良いでしょう。全てを理解するためにはかなりの英語力が必要になります。
初級編と中級編のようにたくさんのイラストはありません。
絵で説明するのではなく、文章をしっかり読んで覚えさせる内容になっています。
ビジネス英語を学びたい方は、細かいニュアンスの違いなどをしっかり学べるのでとても勉強になるでしょう。
英語に自信がある方で、さらにネイティブに近い完璧な英語を目指す方におすすめです。
・「Basic Grammar in Use」:アメリカ英語版初級編
イギリス英語初級編のアメリカ版。クオリティ、本質はイギリス版と同等です。
アメリカ英語にこだわりたい方はこちらがおすすめです。
・「Grammar in Use Intermediate」:アメリカ英語版中級編
イギリス英語中級編のアメリカ版。初級編と同じように、クオリティ、本質はイギリス版と変わりありません。
アメリカ英語にこだわりたい中級レベルの方はこちらが良いでしょう。
ちなみに、アメリカ英語版には、上級編はありません。
・「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」:日本版初級編
アメリカ英語版初級編が日本語で翻訳された日本語版です。
日本の英語教育はアメリカ英語が基盤なので、イギリス版ではなくアメリカ版を翻訳しています。
ただし、もともとはイギリス版から派生しているものなので、クオリティは本家のものと変わりません。
「英語を英語で勉強する」ことはできませんが、本質的な部分はイギリス版と同じです。
「Grammar in Use」シリーズで基本から勉強したいけど、全て英語は無理!という方は、この本がおすすめです。
・「マーフィーのケンブリッジ英文法(中級編)」:日本版の級編
アメリカ英語版中級編の英語版。こちらも、初級編のように本家イギリス版のクオリティはそのまま。
英語中級者でも、やはり英語だけだと抵抗がある、日本語訳があると安心という方は、こちらがおすすめです。
このように「Grammar in Use」シリーズは7つの本に分かれています。
おすすめ文法書|Grammar in Useシリーズのどれを選ぶ?
Grammar in Use」シリーズの7つの中から選ぶポイントは2つです。
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選ぶポイントは2つ!
「イギリス版、アメリカ版、日本語版」のどれ?
「初級、中級、上級」のどのレベル?
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1つ目は「イギリス版、アメリカ版、日本語版」のどれにするか。
イギリス版とアメリカ版は、好みで選んでいただいてOKです。
世界中の多くの言語学校で使われているのがイギリス版となっていて、日本でも人気が高いのはイギリス版です。
でも、アメリカ英語のほうが親しみやすいならアメリカ版で問題ありません。
本質的なもの、クオリティの高さは同等なので、どちらを選んでも、学習効果に差はないからです。
ただし、英語力に自信がない方は、イギリス版でもアメリカ版でもなく、日本語版を選びましょう。
「Grammar in Use」シリーズの魅力は「英語で英語を学ぶ」ことなのですが、そのためには、やはりある程度の英語力が必要になります。
一度イギリス版、アメリカ版を見ていただいて、解説が理解できない場合は、無理せず日本語版を選びましょう。
2つ目は「初級、中級、上級」のどのレベルにするか。
一番人気があるからといって、全くの英語初心者の方が「English Grammar in Use」を選んでも理解できずに挫折してしまうでしょう。
それはもったいないです。
このシリーズを効果的に使うためには、あなたのレベルに合ったものを選ぶことが大切です。
イギリス版、アメリカ版の場合は、TOEIC500点未満なら初級、TOEIC500点以上なら中級が目安です。
上級はTOEIC700点以上のレベルになります。
日本語版の場合は、TOEIC400点未満なら初級編、TOEIC400点以上なら中級編にチャレンジしてみてください。
おすすめ文法書|マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)のメリット
「Grammar in Use」シリーズについておわかりいただけたでしょうか。
ここからは、「マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)」について詳しくご紹介していきたいと思います。
この本は、中学英語レベルの実践的な英文法を学習するための文法書で、英語をやり直したい学習者に最適な本です。
「今さら中学校レベルの英文法を勉強しても英語を話せるようになる?」と思うかもしれませんが、実際の英会話で使われる英文法はほとんど中学校レベルです。
海外ドラマなどで使われている英語をよく聞いてみてください。
実はそれほど難しい英文法は使われていないことがわかると思います。
「フレンズ」や「フルハウス」の会話に出てくる英語は、中学レベルの英語がほとんどです。
だから、この本で学習すれば、日常会話の中で言いたいことをしっかり英語で言える力が身についていくはずです。
それでは具体的にどんな特徴とメリットがあるのか見ていきましょう。
●ネイティブの解説だからシンプルでわかりやすい
この本の解説はとにかくシンプルでわかりやすいところが魅力です。
日本の出版社の文法書にある解説は、難しい文法用語がたくさん出てきて、文章が難しいです。
例えば、「現在完了進行形」「過去完了進行形」「未来完了進行形」などの用語がびっしり並んでいると、読む気が失せてしまいますよね。
この本は「現在完了は、現在と関係があります」など、とても簡単に説明してあるので、スッと頭に入ってきます。
日本人が英文法を説明しようと思うと難しい表現になってしまいますが、ネイティブが説明する英文法は非常にシンプルなのです。
この本で勉強すると「英文法ってこんなに簡単だったんだ!」と思えるでしょう。
●ネイティブの感覚で書かれているから英文法の細かいルールがわかる
この本は、日本人の感覚ではなくネイティブの感覚で書かれている本です。
今まで学校で勉強してきた文法書とは違います。
だから、ネイティブならではの細かいルールを知ることができるのです。
「何となく覚えていたけど、こういう事だったのか!」「こういう時は、この表現のほうが適している」など、学校では教えてもらえなかった細かいニュアンスを知ることができます。
まさに、痒い所に手が届く文法本ですね。
今まで曖昧だった部分が明確になるので、どんどん英語学習が楽しくなるでしょう。
●見開き2ページだからインプットとアウトプットが同時にできる
一通り教科書を読んでから問題練習を解こうとすると「あれ?覚えたつもりが覚えていない」「この問題の解説はどこだっけ?」ということがありませんか?
まず一通りインプットしてから、まとめてアウトプットしようと思っても効率が悪いのです。
この本は、左ページに解説と例文、右ページに問題演習という見開き2ページ構成になっているのが特徴です。
だから、インプットとアウトプットが同時にできるのです。
解説と例文を読んだらすぐに問題を解き、間違えたらすぐに解説に戻る、ということを繰り返すので、知識が定着しやすくなります。
●カラーイラストで理解しやすい 文法書は文字が多いものが一般的ですが、この本はイラストがとても多いのが特徴です。
文章での解説は最小限におさえられていて、そのかわりに、イラストを見て理解できるように工夫されているのです。
感覚的にどんどん覚えていくことができますね。
●自然な例文が多いから英語を使う力を鍛えられる
この本の最大のメリットは、英語を使う力を鍛えられることです。
書かれている英文は、すぐに会話で使える自然なものばかり。
「フレンズ」や「フルハウス」に出てくるような英文がどんどん出てきます。
だから、繰り返し音読してスラスラ言えるようになった英文は、そのまま英会話で使うことができるのです。
日本の受験用の文法書の場合、「こんな文章使うことってあるかな?」という例文がよく出てきますよね。
そのような例文をいくら暗記しても英会話に繋げることはできません。
この本の英文の音読を繰り返していると、「これなら英語で言いたいことが話せそう」という感覚がわかってきます。
楽しみながら英語を使う力を鍛えていくことができるでしょう。
またこの本は、できるだけ文法用語を少なくおさえて、例文を多くしているところが特徴です。
例文を繰り返し音読して身につけていけば、英語を使う力はかなり鍛えられます。
●「診断テスト」で弱点を把握できる この本の巻末には「診断テスト」がついています。
これを解くことで、自分の弱点を知ることができるので、その部分だけを重点的に復習することができます。
「診断テスト」を使えば、効率よく学習することができるでしょう。
おすすめ文法書|マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)のデメリット
この本は「実用的な文法書」として、とてもメリットが多いことがおわかりいただけたと思います。
しかし、どんな本にも欠点はあります。
この本にも、以下のようなデメリットがありますので、覚えておいてくださいね。
●即効性はない この本は、進めていくうちに、じわじわと実力がついてくる文法書です。
だから、残念ながら即効性はありません。
例えば野球の場合でも、何百回も素振り練習をしたからといって、その後すぐにホームランを打てるわけではないですよね。
でも、何回も素振り練習を繰り返すうちに、確実にホームランを打てる力がついていくでしょう。
この本も、野球の素振りのようなものだと思ってください。テ
スト対策のための文法書のように、丸暗記したらすぐにテストの点数が上がった!ということは期待できません。
テスト対策として即効性のある文法書をお探しなら、この本は向いていないでしょう。
でも、確実に力はついていきます。
●単調な作業で飽きる
この本の特徴は、1ユニットごと、左ページに解説、右ページに演習問題という見開き2ページ構造にあります。
これが116ユニット続いています。
シンプルで進めやすいというメリットがある反面、延々と同じ作業が続く単調な作業になってしまうデメリットもあります。
コツコツ勉強するのが苦手な方には、苦痛になってしまうかもしれません。
でも、そもそも英文法は地道に勉強するものなので、コツコツ頑張るしかない!と割り切って頑張ることも大切ですね。
●ネイティブの感覚が合わない この本は、ネイティブの感覚で書かれているところが最大のメリットです。
でも、学校の英文法書で勉強してきて慣れ親しんでいる方には、違和感があるかもしれません。
「学校のテストのために日本人の感覚で英文法を勉強したい」という方には向いていないのかもしれませんが、この本の英語こそ本当に使われている英語なのです!